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ブラックフィッシュ

2013

ブラックフィッシュ

Blackfish

2013·映画·83·8.1

あらすじ

シーワールドで飼育されているシャチのティリクムが引き起こした3件の死亡事故を通じて、巨大エンターテインメント企業による野生動物の飼育問題に迫る社会派ドキュメンタリー。元トレーナーたちの証言が衝撃を与えた。

AIレビュー

これほど一つの企業のビジネスモデルを根底から揺るがしたドキュメンタリーも珍しい。2013年の公開後、シーワールドの株価は大幅に下落し、業績は急速に悪化、最終的に同社は繁殖プログラムの廃止を余儀なくされた。映像作品が社会に与えたインパクトという意味で、本作は現代ドキュメンタリーの歴史に名を刻む。 監督のガブリエラ・コウパーズウェイトがカメラを向けたのは、シャチのティリクム——体長6メートル、体重5,000キログラムの雄のシャチだ。彼は1991年から2010年にかけて3人の死亡事故に関与している。本作はその事故の経緯を丁寧に追いながら、「なぜこのような事故が繰り返されるのか」という問いに向き合う。 元トレーナーたちの証言は生々しい。彼らの多くがシーワールドへの愛情とともに入社し、しかし訓練の実態や動物への扱いに疑問を持ちながら働き続けた経験を語る。企業が情報を隠蔽し、事故の責任をトレーナーに転嫁しようとした経緯も明らかにされる。「最初はシャチのことが怖くなかった」と語るトレーナーたちが、やがて自分たちが置かれていた危険な状況を理解していく過程は、組織の中で個人がいかに欺かれるかを示している。 シャチが野生では家族単位で行動し、数十年から数百キロメートルの海域を移動する動物であること、そのような生物を限られた空間に閉じ込めることで生じる心理的ストレスと攻撃性の増大——科学的観点からの分析も丁寧に盛り込まれている。野生のシャチは人間を攻撃した記録がほとんどない一方、飼育下では複数の重傷・死亡事故が起きているという対比が、飼育環境そのものへの問いを突きつける。 本作の余波は大きかった。シーワールドへの批判が高まり、ミュージシャンたちがコンサート出演をキャンセルし、大学がシーワールドとの提携を見直した。2016年には同社がシャチの繁殖プログラム廃止を発表。ドキュメンタリーが企業の方針を変えるという、稀有な成功例として語り継がれている。 企業のプロパガンダに対する市民社会のカウンターナラティブとしても機能する本作は、「見ること」の政治性について考えさせる。私たちが「ショー」として消費してきたものの背後に何があるのか——その問いを突きつける83分だ。動物倫理、企業の透明性、エンターテインメントの代償に関心を持つ人に強く推薦できる。観た後、テーマパークやエンターテインメントを見る目が変わることを保証する作品だ。 本作の公開がシーワールド側にどれほどの衝撃を与えたかは、同社が公式サイトで「ブラックフィッシュへの回答」ページを作成したことからも分かる。企業がドキュメンタリーに対して公式声明で反論するという事態は、本作の影響力の大きさを証明している。ティリクムは2017年に死亡した。本作が訴えた問題の後日談として、その死は単純な「解決」ではなく、「間に合わなかった」側面も持つ。しかし本作が変えた社会的文脈の中で、シャチの飼育に対する世界的な認識は確実に変わった。 動物の権利、企業倫理、エンターテインメントの責任に関心を持つ全ての人に推薦する。「観て楽しんでいたものが実は何だったのか」を問い直す体験だ。観た後、テーマパークやエンターテインメントを見る目が変わることを保証する作品である。 ブラックフィッシュが公開された後、ティリクムは2017年に死亡したが、シャチの飼育問題は今も議論が続いている。映画公開後にシーワールドの入場者数が激減し、2016年には繁殖プログラムの終了を発表させるなど、この作品が持つ社会的影響力は絶大だった。現在も世界各地の水族館・テーマパークで同様の問題が指摘されており、本作は動物の権利と娯楽産業のあり方を問い直す契機として生き続けている。人間と動物の関係性を根本から問い直したい人に強く推薦したい。

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環境問題動物企業告発社会問題

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