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風の谷のナウシカ
1984
AIレビュー
宮崎駿がスタジオジブリを設立したのは1985年。それはつまり本作はジブリ作品ではないことになるが、すべての点においてジブリの原型がここにある。1984年に公開されたこの作品は、宮崎の個人的な世界観が初めて完全な形で実現された映像であり、40年を経た今も彼の全作品の中で最も根源的な問いを宿しているとも言える。
腐海という設定の豊かさに驚かされる。有毒ガスを放出し、その中に蟲(むし)が生息する謎の森——多くの物語ではこれを「悪」として機械的に描く。しかし宮崎はナウシカの探求を通じて、腐海が人間が汚染した地球を浄化するためのシステムである可能性を示す。敵対的に見えた自然が、実は長い時間軸で機能する知性を持っていた——この逆転は生態学的思想における真の洞察だ。
ナウシカという主人公の設計が傑出している。ジブリ映画に登場する多くの少女主人公の原型でありながら、彼女は「可愛い」だけではない。知性と直感、情感と行動力、平和への願いと暴力の能力——これらが矛盾なく共存する人格の厚みが、物語を単純な善悪の対決から引き離す。彼女が分かり合えると信じるものに対して見せる絶対的な信頼と、それを裏切るものへの深い悲しみ——両方を自然に体現できる主人公は今も稀だ。
久石譲(本作が初のスコア担当ジブリ作品)の音楽は、すでに完成された世界観を持っている。壮大さと哀愁が混在するテーマ曲は、世界の美しさと人間の愚かさを同時に映す鏡だ。本作がなければ、現在知られている久石サウンドは存在しなかったかもしれない——この音楽的出会いも本作の歴史的意義の一つだ。
宮崎は後に、原作マンガ版(1982〜1994年)ではより複雑で暗い展開を描いた。映画版はマンガの最初の2巻相当に過ぎず、完全な物語を知るには原作を読む必要がある。しかし映画版として完結した作品として見ても、本作は完璧に機能している。
気候変動と生態系の崩壊が現実の問題として意識される現代において、1984年に描かれたこの物語の先見性は計り知れない。環境と人間の共存という主題は今も解決されておらず、本作が提示した「腐海の逆説」は40年後の今も有効な思考実験だ。ジブリ作品を好む全ての人に、その出発点として推薦する。
宮崎の長編映画群を全て観た後で本作に戻ると、40年間一貫して追い続けた問いの原型がここにあることを感じる。戦争への嫌悪、自然への畏敬、強い女性主人公、飛翔する喜び——これらの主題は本作から始まった。宮崎の2023年引退作「君たちはどう生きるか」も含め、彼のフィルモグラフィー全体を一つの思想として読むとき、本作は最初の「宣言」だ。その宣言が40年後の今も有効であることは、芸術的ビジョンの持続力として驚くべきことだ。
ジブリファン必見なのはもちろん、宮崎作品が「子ども向け」であることの意味を考えたい人にも。本作の腐海という設定は「子どもが理解できる生態学」として機能しており、環境への問いを最もシンプルかつ深い形で提示している。全年齢層に推薦できる傑作だ。
宮崎駿が初めてハーモニー・ゴールドとの共同製作という形で全世界向けに送り出したこの作品は、スタジオジブリ設立以前のトップクラフト時代を代表する傑作だ。巨神兵の圧倒的な映像表現と、腐海の生態系が実は世界を浄化しているという逆転の発想は、公開から40年以上経った今も新鮮な驚きを与え続ける。原作漫画版は映画の後も長く連載が続き、さらに深い世界観が構築された。環境と人間の関係を問うこの作品は、気候変動が現実の脅威となった現代においてより切実なメッセージを持つ。宮崎作品の原点を知るための必見作だ。
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環境問題冒険宮崎駿反戦生態学

