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シットス・クリーク

2015

シットス・クリーク

Schitt's Creek

2015·ドラマ·シーズン6·8.5

あらすじ

全財産を失った富裕層の家族ローズ家が、かつて冗談で買ったド田舎の小さな町「シットス・クリーク」に移住し、ゼロから人生を立て直す様子を描くカナダ製コメディ。6シーズンかけて繰り広げられる人間成長物語。

AIレビュー

まず最初に正直に言おう——第1シーズンの序盤、このシリーズが傑作になるとは思わなかった。裕福だった家族が貧乏な田舎に落ちぶれる、という設定から想定されるコメディの典型的な構造がそこにあった。しかし第2シーズン以降、本作は静かに、そして確実に、現代コメディドラマの最高峰へと成長していく。 ユージン・レヴィとダニエル・レヴィの父子が共同制作したこのシリーズの最大の特徴は、「愛情」だ。すべてのキャラクターが、たとえどれほどばかばかしく見えても、脚本家から真剣に愛されている。ジョニーの誠実さ、モイラの誇張された演技欲、デイヴィッドの防衛的な人格、アレクシスの成長——誰一人として笑いの「道具」として扱われていない。 特にダニエル・レヴィが演じるデイヴィッドとノア・リードのパトリックのロマンスは、現代テレビドラマ史に残る関係性のひとつだ。同性カップルの描写において本作が画期的だったのは、「カミングアウトの苦悩」ではなく「恋愛の喜び」を中心に置いたことだ。差別のない空間での純粋な愛の物語——それがどれほど清涼な体験をもたらすかを本作は示した。スキット・クリークという小さな町が、偏見のない「ユートピア」として機能することで、差別のない世界がどのようなものかを静かに提示する。 キャサリン・オハラが演じるモイラ・ローズは、コメディ演技史に残る創造だ。大袈裟な演技癖、架空の訛りの数々、衣装への異常な執着——しかしシーズンが進むにつれ、彼女の傷つきやすさと家族への深い愛情が滲み出てくる。オハラはこの役でエミー賞を受賞したが、その価値を遥かに上回る演技をシリーズ全体を通じて続けた。 6シーズンの構成も秀逸だ。第1シーズンで設定した家族の問題点が、毎シーズン少しずつ解消され、最終シーズンへの布石が周到に積み上げられる。コメディでありながら、各キャラクターの成長弧がドラマ的な満足感を与える。「なぜ本作はあんなに良かったのか」と考えた時、それは登場人物たちが変化し、成長し、互いへの愛情を深めていくという、純然たるドラマの核があったからだと気づく。 第6シーズン最終話「Happy Ending」は、近年のコメディドラマ史上最も愛されたフィナーレのひとつ。笑いと涙が渾然一体となった60分間は、長い旅を共にした視聴者への最高の贈り物だ。第1シーズンで脱落した人は、ぜひ第2シーズン以降を観直してほしい。 本作がカナダ産ドラマであることも興味深い視点だ。アメリカのシットコムの形式を採用しながら、アメリカの消費文化と格差を外から見るカナダ的視点が混在している。「差別が存在しない小さな町」という設定は、現実の社会問題を直接扱わないことで、より普遍的な人間ドラマとして機能している。本作の成功はNetflixなしには考えられない。カナダの地上波で放送された作品が、Netflix経由で世界的な現象になった過程は、コンテンツの地政学的変化を体現する事例でもある。 「良いコメディとは何か」を考えたい人、また現代の多様性表現がいかに自然に物語に溶け込めるかを見たい人に強く推薦する。シリーズが進むほど良くなる稀有な例として、6シーズン全てを完走することを強く勧める。 シットス・クリークが示したのは、テレビドラマが短い尺の中で人間の成長を描く可能性だ。お金と社会的地位を失ったローズウッド一家が、小さな町での生活を通じて本当の価値観を見出していく過程は、視聴者に自分自身の生活を振り返らせる。2020年のエミー賞でコメディ部門の主要6冠を独占するという前代未聞の快挙を達成し、批評的にも大衆的にも成功した稀有な作品だ。6シーズンで完結した美しいストーリーアークは、終わりまで見通した計画的な物語設計の手本として語り継がれる。

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家族成長恋愛LGBTフレンドリーカナダ

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