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ソルトバーン
Saltburn
2023年·映画·131分·★ 7.1
スリラードラマミステリー
あらすじ
オックスフォード大学の奨学生オリヴァーは、魅力的な富豪の同級生フェリックスに取り憑かれるように近づく。フェリックスの豪華な邸宅「ソルトバーン」で過ごす夏に、オリヴァーの本当の目的が徐々に明かされる。エメラルド・フェネル監督による階級社会と執着をテーマにした心理スリラー。
AIレビュー
エメラルド・フェネル監督の「ソルトバーン」(2023年)は、観終わった後にゾワリと体を這う感覚が残る映画だ。2006年のオックスフォード大学を舞台に、奨学生の青年オリバー・クイック(バリー・コーガン)が富裕層の美青年フィリックス・キャットン(ジェイコブ・エロルディ)と出会い、彼の豪邸「ソルトバーン」に招かれるところから物語は始まる。
表面的にはイギリス上流階級の生活を描く物語に見える。しかし実際は、「執着」と「欲望」の深淵を探る心理スリラーだ。オリバーは何者なのか、彼はフィリックスの何を求めているのか——この問いが全編を通じて観客を引っ張る。情報の出し方が精密に設計されており、「何かがおかしい」という感覚を積み重ねながら、真実が徐々に姿を現す。
バリー・コーガンの演技が異常なほど素晴らしい。微笑みながら目が笑っていない瞬間、感情の温度が突然変わる瞬間——観ている側が「この人は何を考えているのか」と不安になり続ける演技設計は、ヒッチコック映画のサスペンスを現代に蘇らせる。ジェイコブ・エロルディの「美しさが持つ危険」の体現も印象的だ。美しさとは、それを見る者が投影する欲望の器でもある。
映像美は別格だ。アームのルーカス・ハラースが撮影監督を務め、ソルトバーンの豪邸——広大な庭、豪奢なインテリア、アンティークな廊下——を独特の色彩と構図で切り取る。夏の光と影のコントラストが、物語の「美しさの中に潜む腐敗」というテーマを視覚的に体現する。特にプールのシーンや迷路の庭のシーンは映像史に残る視覚的インパクトを持つ。
物語後半、本質が剥き出しになるにつれて、場面が過激さを増す。いくつかのシーンは挑発的で、観る者を試すように設計されている。これを「不快」と感じるか「天才的」と感じるかは視聴者次第だが、監督が意図的に設計した衝撃であることは明らかだ。エンディングのシーケンスは映画館で声を失った観客を何人も生み出したはずだ。
エメラルド・フェネルは「プロミシング・ヤング・ウーマン」(2020年)でも「美しい表面の下の暗さ」を描いたが、本作ではその手法をさらに深化させている。階級、欲望、美貌への執着——この作品が批評するのは一人の男ではなく、「美しいものを消費する社会」そのものかもしれない。パトリシア・ハイスミスのリプリー・シリーズと精神的に近い。
おすすめ視聴者:心理スリラーが好きで、後味の悪さに独特の快感を覚える人、映像美に価値を感じる人。衝撃的な描写が苦手な人への推奨は慎重に。上映時間約131分。Amazon Prime Video独占配信(日本含む)。
エメラルド・フェネルがこの映画を通じて投げかける本質的な問いは「欲望の正体」だ。オリバーはフィリックスの「豊かさ」を欲しているのか、「地位」を欲しているのか、「存在そのもの」を欲しているのか——その答えが明かされた時、欲望の真の形がいかに純粋で恐ろしいかが分かる。バリー・コーガンはアイルランド出身の俳優で、「聖地」「ユーフォリア」などでも独特の「不気味な魅力」を体現してきたが、本作はそのキャリアの頂点だ。英国階級社会の「美しい表面と腐った内側」というテーマは、ジェーン・オースティンからコリン・ファレルまで続く英国文化の通奏低音でもある。
**視聴ガイド**: 全7シーズン(各13話)という長大な構成だが、各シーズンが特定の時代やテーマを持つため、どこからでも入りやすい。1960年代のファッションやデザインに興味がある視聴者にはとくに魅力的な作品。広告業界の本質的な矛盾と、人間の欲望が生み出す美しさと醜さを同時に映し出す。
どこで見れる?(見放題)
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心理スリラー階級社会執着問題作英国





