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サイニスター

2012

サイニスター

Sinister

2012·映画·110·6.8

あらすじ

ベストセラー作家のエリオットが、一家惨殺事件が起きた家に引っ越し、屋根裏で発見した8mmフィルムから恐怖が始まるオカルトホラー。フィルムに映った超自然的存在「バグール」が次第に彼の家族を蝕んでいく。

AIレビュー

ホラー映画研究者たちが「近年最も怖いホラー映画」と評価することが多い本作。英エクセター大学の研究では、本作が実験参加者の心拍数を最も引き上げたホラー映画のひとつとして記録されている。そのデータは伊達ではない——本作の恐怖設計は、非常に計算されている。 スコット・デレリクソン監督が採用した戦略は「見せすぎない」ことだ。主人公エリオット(イーサン・ホーク)が夜中に独りで8mmフィルムを視聴するシーンの連続が、前半の核を形成する。ノイズだらけの映像の中に映る惨劇——その「見えそうで見えない」感覚が観客の想像力を最大限に働かせる。人間の想像力が作り出す恐怖は、監督が直接見せる恐怖より深く刺さることを、本作は証明している。 イーサン・ホークの演技が本作を単なる恐怖映画から一段階引き上げている。事件の謎を追うことへの執着と、家族を守りたいという本能の間で揺れる作家の葛藤が、ホラーとしての恐怖にドラマ的な厚みを加えている。キャリアが停滞した男の焦りが判断力を曇らせていく過程がリアルだ。彼が「観るべきではない」と分かっていながら次のフィルムを再生するとき、観客は彼の選択を批判しながら、自分も同じことをしてしまうことを知っている。 「バグール」という悪魔的存在の造形も秀逸だ。子どもたちを取り込む古代の悪——その設定の古典性と、Super 8フィルムというアナログメディアの組み合わせが独特の不気味さを生む。デジタル時代におけるアナログの「残留物」への恐怖とも読める。バグールの外見が、フィルムのノイズの中で不明瞭なまま提示されることで、「完全には見えない」恐怖が維持される。 クリストファー・ヤングによる音楽も重要な役割を担う。ノイズ系の不協和音と沈黙の対比が、フィルム視聴シーンの恐怖を増幅させる。静寂を恐怖の前兆として使う音響設計は、本作のホラーを体感的なレベルで効果的にしている。 ラストの展開については賛否両論あるが、一度観た後では再見時にまったく違う視点で細部が見えてくる。「何かがおかしい」という違和感の積み重ねが、結末の衝撃をより深くする設計だ。ホラーの傑作として、純粋に「怖いもの」を求める視聴者に強く推薦できる。続編「サイニスター2」は本作の水準に遠く及ばないため、本作単体での体験を推奨する。夜中に独りで観るのに最適な作品だ。 デレリクソン監督はその後「ドクター・ストレンジ」(2016年)でマーベル映画に進出したが、本作に見られる「見えないものへの恐怖」の演出法は、ストレンジの魔術世界の視覚化にも活かされている。本作はその才能の原点として価値がある。本作の脚本構造にも注目したい。「謎を解くほど状況が悪化する」という反ミステリー的な構造は、ホラーとしての絶望感を持続させる有効な設計だ。通常のミステリーは謎の解明が解決に向かうが、本作はその期待を裏切り続ける。 純粋なホラー体験を求める人への第一推薦作だ。「心拍数を上げる映画」のリストには必ず名前が挙がる本作を、まだ未体験の人はぜひ夜中に一人で試してほしい。続編「サイニスター2」は本作の水準に遠く及ばないため、本作単体での体験を推薦する。 スコット・デリクソン監督が後にマーベル作品『ドクター・ストレンジ』を手がける前に作り上げた本作は、彼の監督としての実力を証明した作品だ。イーサン・ホークの演技は、平凡な父親が恐怖に飲み込まれていく過程を説得力豊かに表現しており、ホラー映画における演技の重要性を改めて示している。「見てはいけない」という本能的恐怖を巧みに操った本作は、見た後もしばらく頭から離れないトラウマ的映像体験を提供してくれる。ホラー映画の中でも特に心理的な後引き感が強い一作だ。

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オカルト心理的恐怖家族悪魔

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