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ヴァンパイアに魅せられた男たち
2019
AIレビュー
タイカ・ワイティティとジェマイン・クレメントが2014年に制作した同名のニュージーランド映画から派生したこのシリーズは、原作の精神を受け継ぎながら、独自の世界観を構築することに見事に成功している。スタテン島のシェアハウスに同居するヴァンパイアたちという設定が、映画版のウェリントンから舞台を変えることで、全く新しい笑いの鉱脈を掘り当てた。
モキュメンタリー形式のコメディとして本作が卓越しているのは、「真剣なふりをすること」の徹底だ。何百年も生きたヴァンパイアたちが、現代社会の些細な問題——税金、ゴミ捨て、ご近所トラブル、仕事のストレス——に翻弄される。その落差から生まれる笑いは、キャラクターを笑い者にするのではなく、むしろ親密さを生む。「不死の存在でも煩わしいことがあるんだ」という共感が、人間の観客にヴァンパイアを身近にする。
キャスト全員が傑出しているが、特にカユバカ・オカフォー演じるナンドールと、マット・ベリー演じるラスカールの関係性は本作の宝だ。ベリーの独特な口調とタイミングは、どんなセリフも喜劇的に変える天才的な才能だ。また、エネルギー吸血鬼(エンパス)のコリン・ロビンソンというキャラクターは、現代社会のある種の人間類型——会議での能書き垂れ、不必要な話を止められない人物——を痛烈に風刺した発明だ。彼の「犠牲者」たちが徐々に疲弊していく様子のコミカルな描写は、ほぼ全ての視聴者が「あの人のことだ」と思う普遍性を持っている。
シーズンが進むにつれ、各キャラクターに感情的な深みが加わっていく。不死という設定が「変化への恐怖」「孤独」「人との繋がり」といった普遍的なテーマと結びつき、単なる笑いを超えた何かになる。ナドジアとギルドの関係の変容、ナンドールの時代錯誤と適応の物語は、コメディのフォーマットの中で意外な感情的重みを獲得する。
ヴァンパイア映画/ドラマというジャンルへの愛情と批評が共存する本作は、ホラーとコメディの両方のファンが楽しめる稀有な作品だ。「トワイライト」「アンダーワールド」「ドラキュラ」系のヴァンパイア神話に親しみがあれば、本作が随所に仕込んでいるジャンルへのラブレターも楽しめる。モキュメンタリーコメディとしてのクオリティは「ザ・オフィス」「パークス・アンド・レクリエーション」と並べて論じられるレベルに達している。深く考えずに楽しめるコメディを求めている人への最高の推薦作だ。
本作と同じモキュメンタリー形式の傑作と比べても、本作は独自の立ち位置を持つ。「ザ・オフィス」が職場という日常空間を舞台にしたように、本作はオカルト的な「非日常の存在」を日常の文脈に落とし込むことで新しいコメディの地平を開いた。シーズン5(2023年)まで続いた本作は、各シーズンで新しいキャラクターや設定を加えながら、核となるアンサンブルの魅力を維持することに成功している。
ヴァンパイア文化に親しんでいる人への最高の推薦作だ。また、モキュメンタリーというフォーマットの可能性を最大限に活用した傑作コメディとして、ジャンルを問わず推薦できる。一度ハマると全シーズンを一気に観てしまうタイプのシリーズだ。
アン・ライスの原作小説は発表当初から熱狂的なファンを獲得し、ヴァンパイア神話に新たな深みをもたらした。映画版はトム・クルーズとブラッド・ピットの豪華キャストが相互補完的な魅力を発揮し、ヴァンパイアというキャラクターを大衆文化の主流に押し上げた。不死であることの孤独と人間性への渇望というテーマは、ファンタジー映画の枠を超えた普遍的な問いを投げかける。後のヴァンパイア作品に与えた影響は計り知れず、本作なしに現代のヴァンパイア文化は語れないといっても過言ではない。
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ヴァンパイアモキュメンタリーダークコメディ超自然



