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IT/イット 〔It〕

2017

IT/イット 〔It〕

It

2017·映画·135·7.3

あらすじ

1980年代のアメリカの田舎町デリー。子供たちが次々と失踪する事件が続く中、弟を失ったビルは「ルーザーズ・クラブ」の仲間たちと恐怖に立ち向かう。彼らの前に現れたのは、27年ごとに子供たちを狙う恐怖の道化師「ペニーワイズ」だった。

AIレビュー

スティーブン・キングの金字塔的原作を現代的に再解釈した本作は、ホラーと青春映画という一見相反する要素を見事に融合させた傑作だ。アンディ・ムスキエティ監督(アルゼンチン出身)は子供たちの友情と成長を軸に据えながら、それを圧倒的な恐怖で包み込む絶妙なバランスを実現した。2017年公開当時、ホラー映画の世界興行収入記録を塗り替え7億ドルを超える大ヒットとなったことで、キングの原作の普遍的な魅力が改めて証明された。 ビル・スカルスガルドが演じるペニーワイズは映画史上最も印象的なヴィランのひとりだ。1990年のTV版でティム・カリーが演じた「怖い道化師」というイメージを継承しながら、より本能的で非人間的な恐怖を体現するキャラクターへと昇華させた。内斜視になる両目、予測不能な動き、子供の恐怖をエネルギーとして喰らうという設定、そして時代を超えた道化師衣装の精緻な改変——これらが組み合わさって、現代映画屈指のヴィランが誕生した。スカルスガルドはメイクをつけていない状態で子役たちと一切接触しないよう配慮し、撮影中の本物の恐怖の反応を引き出したという。その努力は画面に確かに映っている。 この映画の真価は、恐怖の背後にある人間ドラマにある。ルーザーズ・クラブの7人それぞれが抱える深い傷——ビルの弟ジョーイの死、ベバリーの家庭内暴力、リッチーの恐怖症、エディの過保護な母、スタンリーの宗教的疑念、マイクの人種差別、ベンの肥満いじめ——は1980年代アメリカの痛みをリアルに映し出す。ペニーワイズが具現化するのは外側の怪物ではなく、各自の内なる恐怖だという設定が、作品に深みを与えている。子供たちが恐怖を克服する過程は、トラウマと向き合い自己を取り戻す心理的な旅でもある。 「スタンド・バイ・ミー」(1986)の青春の空気感と「エクソシスト」の怪奇映画的な恐怖が混在するような稀有な体験——それがこの映画の醍醐味だ。1980年代のデリー(架空のメイン州の田舎町)という舞台が醸し出すノスタルジーは、その時代を知らない世代にも不思議と懐かしさを感じさせる。窓から外を眺める退屈な夏、自転車での冒険、秘密基地——子供時代の普遍的な記憶が、恐怖体験と混ざり合うことで独特の感情的な厚みを生む。 演出面の工夫も光る。ムスキエティ監督はジャンプスケアを多用せず、不安感の醸成と解放のサイクルを丁寧に構築している。特定の色(赤いバルーン、黄色いレインコート)を反復使用することで条件付けを行い、それらが画面に現れるだけで恐怖が呼び起こされる仕掛けは巧みだ。また「見ちゃいけないものをついつい見てしまう」という人間の本能を逆手に取った演出が随所に散りばめられており、観客自身の好奇心が恐怖の一因になるという仕掛けが面白い。 ホラー映画が苦手な人にも青春映画として推薦できる稀少な作品だ。続編「IT/イット THE END」(2019)では同じキャラクターの27年後を描き、子供時代の恐怖と大人になることの意味についてより深く掘り下げている。字幕版推奨だが吹替版も完成度が高い。「スタンド・バイ・ミー」や「グーニーズ」などの青春アドベンチャーが好きな人には特に刺さる一本だろう。 ムスキエティ監督は続編「IT/イット THE END」(2019年)でも同じキャラクターたちの27年後を描き、子供時代の恐怖と大人になることの意味をより深く探求している。原作小説を読んでいると映画での省略や改変が気になるという声もあるが、映画単体として完結した作品としての完成度は高い。「スタンド・バイ・ミー」や「グーニーズ」など1980年代青春アドベンチャーが好きな人には特に推薦したい。ホラー初心者は明るい時間帯の視聴を強くお勧めする。

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青春ホラートラウマ必至友情と恐怖キング原作

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