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アナイアレイション -全滅領域-

2018

アナイアレイション -全滅領域-

Annihilation

2018·映画·115·7.0

あらすじ

謎の光のフィールド「シマー」によって覆われた立入禁止区域を調査するために送り込まれた5人の女性科学者チームの物語。内部では生物学的な法則が書き換えられ、隊員たちは想像を絶する変容に直面する。ジェフ・ヴァンダーミアの小説の映画化。

AIレビュー

アレックス・ガーランド監督は本作を「理解するのではなく感じる映画」と表現した。その言葉通り、本作は知的な謎解きホラーではなく、存在の根幹を揺さぶる体験として設計されている。エクス・マキナ(2015)でAIと人間性の境界を問うた監督が、本作では「自己」という概念そのものを溶解させる。 5人の女性科学者が「シマー」の内部に入っていくにつれ、現実の法則が少しずつ侵食されていく。植物が人間の形を取り、動物が人間の声で泣き、そして人間の細胞が別の生命へと書き換えられていく——これらのビジュアルは美しく、かつ深く不安をかき立てる。恐怖と美の共存という困難な表現に、本作は驚異的な完成度で成功している。 ナタリー・ポートマンが演じる生物学者レナの内面描写が核を形成する。消えた夫への罪悪感、自己破壊的な衝動——「シマー」が彼女に何をするのかは、彼女が無意識に何を求めているのかの反映でもある。ホラーの恐怖が外部から来るのではなく、人物の内面から生まれる構造は、本作を単純な怖がらせ映画から引き離している。 ジェフ・ヴァンダーミアの原作小説「サザン・リーチ」三部作を映画化するにあたり、ガーランドは意図的に原作の細部の多くを省略した。「シマーとは何か」という問いに明確な答えを与えないことが映画的には正しい選択だったと思う——説明された瞬間に、恐怖の質が変化してしまうからだ。 ベン・ソールズベリーとジェフ・バーロウによる音楽も特異だ。有機的なパルスと電子音の融合が、生命と無機物の境界が溶ける世界の音響的表現として機能する。Mark Oliverの楽曲「Helplessness Blues」(フォーク・ミュージック・コレクティブ)が物語の重要な局面で使われる選択も、アメリカの光景と記憶という主題と共鳴している。 クライマックスの灯台内部のシーンは、近年のSF映画で最も議論を呼んだシーンのひとつだ。言語で説明することが困難な「他者性」の具現化として、映画史に残る映像体験を提供する。理屈で理解しようとせず、画面の変容に身を任せること——それが本作を最も深く楽しむ方法だ。一度では全てを受け取れない作品であり、再視聴で新しい層が剥けてくる。タルコフスキーの「ストーカー」(1979)を想起させる実存的SF映画として、この種の体験を求める人に強く推薦する。 タルコフスキーの「ストーカー」(1979年)との類似は多くの批評家が指摘するが、本作の方がアクションとしても成立している点で、より多くの観客への入口として機能する。哲学的SFへの入門として、本作を経由してタルコフスキーに至るルートも有効だ。本作が「理解しようとすると損をする映画」である理由は、ガーランドが意図的に「答えを出さない」設計をしているからだ。謎が解けてしまえば、それ以上考える必要がなくなる——本作の謎を維持することが、観賞後の思索の持続を保証している。 「分かる映画」より「感じる映画」を求める視聴者に最適だ。SF小説をよく読む人、特にテッド・チャンやジェフ・ヴァンダーミアの読者には、本作の哲学的問いの密度が特に響くはずだ。 アレックス・ガーランド監督のSF作品群の中でも『アナイアレイション』は特別な位置を占める。ナタリー・ポートマン演じる主人公が「X-エリア」で体験する変容は、人間のアイデンティティとは何かという哲学的問いに直結している。原作小説三部作のうち第一作のみを映画化した本作は、あえて説明を省いた構成によって観客の想像力を最大限に引き出す。撮影監督ロブ・ハーデイによる不思議な美しさと不安感が共存する映像は、長く記憶に残る。理解できないものへの恐怖と好奇心を同時に呼び起こすSFホラーの傑作だ。

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SF心理的体験型女性主人公不条理

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