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グラス・オニオン: ナイブズ・アウト

2022

グラス・オニオン: ナイブズ・アウト

Glass Onion: A Knives Out Mystery

2022·映画

あらすじ

前作『ナイブズ・アウト』の名探偵ブノワ・ブランが、ギリシャの島に招かれた億万長者グループの中で起きた殺人事件を調査するミステリー続編。テクノロジー業界への風刺を盛り込む。

AIレビュー

探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)が再び奇想天外な殺人ミステリーに挑む本作は、前作の魅力を継承しながらも、より大胆でスケールの大きな娯楽作品へと進化を遂げている。舞台となるのは、テック企業CEO、マイルズ・ブロン(エドワード・ノートン)が所有する豪華な私有島。コロナ禍を背景に、マイルズは旧友たちを集めて"殺人ゲーム"パーティーを開催するが、そこで実際の殺人事件が発生する。 本作の特徴は、現代のテクノロジー界や富裕層を痛烈に風刺している点だ。自己中心的で誇大妄想的なCEOのキャラクター造形は、イーロン・マスクを彷彿とさせる。また、影響力のある人々の虚栄心や moral corruption(道徳的腐敗)を巧みに描き出している。 構造的には、前半と後半で大きく展開が変わる二部構成を採用。前半で提示された状況が、後半で全く異なる文脈で捉え直される展開は秀逸だ。観客の予想を裏切りながら、最後には全ての謎が見事に解け明かされていく様は、優れたミステリー作品ならではの快感がある。 キャスティングも絶妙で、ケイト・ハドソン、デイブ・バウティスタ、ジャネル・モネイらが個性的な役どころを魅力的に演じている。特にジャネル・モネイ演じるヘレン役の存在感は特筆に値する。そしてダニエル・クレイグは、南部訛りの探偵ブランを前作以上に魅力的に体現している。 視覚的な面では、ベニス・グラス美術館を模した豪華な建造物や、色鮮やかな美術セット、洗練された衣装デザインなど、見所が満載。ベナワ・ドビーの cinematography は、地中海の陽光を存分に活かした美しい映像を作り出している。 しかし、本作の真骨頂は、エンターテインメントとしての完成度の高さだ。知的な謎解きの面白さと、現代社会への風刺、そしてコメディ要素が絶妙なバランスで融合している。特に、権力者たちの愚かさを暴く展開には、カタルシスすら感じられる。 前作と比べると若干トリックの意外性では劣るものの、スケールの大きさと社会風刺の要素で十分にカバーしている。ライアン・ジョンソン監督は、古典的なミステリーの文法を現代的にアップデートすることに再び成功した。本作は、知的な推理要素と娯楽性を兼ね備えた、極めて満足度の高いミステリー作品となっている。 本作の中盤での「どんでん返し」は、それまでの出来事が実は1週間前の出来事だったという時系列の転換であり、同時にヘレンがカッサンドラの双子として主人公だったことが明かされる。この構造により、1度目の視聴では探偵ブランの視点で謎を追う観客が、2度目の視聴では全く異なる文脈で同じシーンを楽しめる仕掛けとなっている。 特に、ヘレンの演技指導シーンや、ブランが「バカな真似はやめろ」と叫ぶシーンの真意、デュークの毒殺における時間差の仕掛け、マイルズの部屋でのウィスキー交換など、2度目の視聴で初めて理解できる細部が随所に配置されている。また、作品タイトルの「グラス・オニオン」という比喩自体が、層を剥がすように真相に迫る物語構造を表現しており、視聴を重ねるごとに新たな発見がある作品設計となっている。 マイルズは、イーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグに代表される現代のテック系大富豪を風刺した人物として描かれている。表面的には革新的な発想と野心を持つ天才起業家だが、実際は友人のアイデアを盗み、周囲を欺いて成功を築いた詐欺師である点が重要だ。彼の性格や行動パターンには、SNSでの自己演出や強引な企業買収、科学的根拠の乏しい事業計画の強行など、現実のテック界の問題点が凝縮されている。特に、水素燃料という実現可能性の低い技術に固執する様子は、テクノロジーの限界を無視した楽観主義への批判となっている。また、パンデミック下でプライベートアイランドでパーティーを開く設定は、コロナ禍での富裕層の特権的な振る舞いへの皮肉でもある。マイルズという人物を通じて、シリコンバレー文化における自己中心性や倫理観の欠如が鋭く指摘されている。

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ライアン・ジョンソンテクノ億万長者風刺現代ミステリーダニエル・クレイグ一捻りある

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