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ザ・バットマン

2022

ザ・バットマン

The Batman

2022·映画·176·7.8

あらすじ

活動開始2年目の若いバットマンが、ゴッサム全土を標的にした謎の連続殺人犯リドラーを追う、暗黒のネオノワール犯罪スリラー。

AIレビュー

マット・リーヴス監督の「ザ・バットマン」は2022年に公開され、スーパーヒーロー映画が娯楽的な明るさを求める潮流の中で、あえて最も暗く最も重厚なバットマン像を提示した。世界興行収入7.7億ドルを記録しながら、映画批評家からも高い評価を受けた——商業的成功と芸術的評価の両立は、近年のスーパーヒーロー映画では最も稀なケースの一つだ。上映時間約3時間、脚本・監督はマット・リーヴス、主演はロバート・パティンソン。 舞台はゴッサム・シティ、腐敗した警察と犯罪組織が支配する絶望的な都市。バットマン(ロバート・パティンソン)は活動開始2年目の若い存在として描かれ、「恐怖の象徴」として夜の街に現れる。謎の連続殺人犯「リドラー」(ポール・ダノ)が高位の公務員たちを殺し暗号化されたメッセージを残していく事件を追う中で、ゴッサムの権力者たちが長年隠してきた汚職の構造——そしてウェイン家の遺産がその腐敗と深く絡んでいるという衝撃の事実が明らかになる。 本作の最大の革新は「バットマン映画」を「探偵映画」として再定義した点だ。バットマンが世界最高の探偵であるというコミックの設定を本気で映像化し、尋問、証拠分析、犯人との頭脳戦が物語の中心に据えられる。暗号解読のシーンやリドラーとの対話は、バットマン映画では見られなかった知的な緊張感を生む。同時に、リドラーが現実の告発者的な役割を持ち、システムへの怒りを歪んだ形で表現していることが、単純なヒーロー対ヴィランの図式を複雑にしている——「正義とは何か」「怒りをどう表現するか」という問いが二人の鏡像的な対比として浮かび上がる。 ロバート・パティンソンのバットマンは、これまでの映画版と根本的に異なるキャラクター設計だ。バットマンとしての仮面の裏のブルース・ウェインが「仮面」であり、バットマンこそが「本当の姿」として描かれる。傷だらけで眠れない孤独な若者が、自分でも理解しきれていない怒りで動いている——この設計がヒーロー映画に珍しい内面の複雑さをもたらす。「ヴァンパイア」という揶揄を逆手に取り、夜の恐怖の象徴として完全に機能する佇まいは、パティンソン自身の演技的な知性の産物だ。 映像設計はグレッグ・フレイザーの撮影が決定的な功績を持つ。ゴッサムの雨と霧と闇、バットモービルを使ったカーチェイスの映画的な興奮、リドラーのアパートでの衝撃的な対話——ほぼ全ての場面が映画として完成された一枚の絵として成立する。マイケル・ジアッキーノの暗いオーケストラスコアは、バットマンのテーマを重厚な弔鐘のように設計し、他のスーパーヒーロー映画とは全く異なる体験を生む。 コミック原作映画に飽きたが「ダークナイト」は好きという人、「セブン」「ゾディアック」のようなシリアルキラー探偵映画のファン、スーパーヒーロー映画に重厚な内容を求める人に特に推薦できる。続篇製作が発表されており、この世界観の展開への期待は高い。 各種配信サービスで視聴可能。上映時間は約3時間だが中弛みは少ない。画面が暗いシーンが多いため、視聴環境の明るさ設定に注意してほしい。 「ザ・バットマン」が従来のバットマン映画と決定的に異なるのは、バットマンを「解決者」ではなく「問いかける者」として描いた点だ。ゴッサムの問題はバットマンが殴り倒すことでは解決できない——彼自身がその限界に気づき始める物語として本作は機能している。「ヒーローとは何か」「恐怖で支配することは正義か」という問いが、スーパーヒーロー映画の形式の中で正面から問われる稀有な作品だ。本作が描くゴッサム・シティの腐敗した構造は、現実の都市行政や警察腐敗への批評として機能しており、スーパーヒーロー映画という形式でありながら社会派映画としての深みを持つ。

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