
オッペンハイマー
Oppenheimer
2023年·映画·180分·★ 8.3
歴史ドラマスリラー
あらすじ
「原子爆弾の父」と呼ばれた物理学者J・ロバート・オッペンハイマーが、第二次世界大戦中にマンハッタン計画を指揮した史実を描く。原爆開発の成功と、その後の政治的迫害、道徳的葛藤が交錯するクリストファー・ノーラン監督の大作。
AIレビュー
クリストファー・ノーランが選んだのは、人類が作った最も矛盾した英雄の物語だ。J・ロバート・オッペンハイマーは原子爆弾を作り、世界を救い、そして世界の終わりを可能にした。本作はその「功績」と「呪縛」を3時間かけて丁寧に解剖する。
映画は三つの時間軸が交差する複雑な構造を取る。オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)の視点から描かれるカラーシーンと、政敵ルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)の視点から描かれる白黒シーン。そして第三の時間軸が終盤で全ての意味を塗り替える。ノーランが時間操作を使う時、それは常に物語の核心と深く結びついている。
ニュー・メキシコ砂漠での核実験シーン、通称「トリニティ実験」の映像は映画史に残るだろう。IMAXカメラで撮影された爆発は、爆発音が遅延して届くわずかな沈黙の後——あの静寂の意味が後から重くのしかかってくる。
キリアン・マーフィーの演技は驚異的だ。物理学者でありながら政治に翻弄され、神話化されながら孤独に苦しむ男を、表情の微細な変化だけで語る。「私は死なり、世界の破壊者なり」——バガヴァッド・ギーターの一節を口にする彼の眼が忘れられない。
原爆が実際に使用された後の場面で、オッペンハイマーは成功の祝賀会に参加しながら、会場を見渡す。そこに何が見えるか——演出上のトリックだが、これが最も正直な反戦描写かもしれない。
日本での公開が遅れた背景には原爆描写への懸念があったが、本作は「悪」を単純化しない。原爆投下の決定に直接関与しなかったオッペンハイマーの葛藤を通して、科学者と政治と戦争の複雑な絡み合いを描く。簡単な答えを出さないことが、この映画の誠実さだ。
アカデミー賞作品賞・監督賞・主演男優賞など7冠。2023年最大の話題作でありながら、純粋な娯楽映画でもある稀有な作品。
**こういう人におすすめ**:歴史的事件の舞台裏に興味がある人。道徳的に複雑なドラマが好きな人。クリストファー・ノーランの構造的な語り口が好きな人。3時間を覚悟して、その価値を確実に得たい人に。
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